偏見と理想と未来!成人オカマの主張
BSディム。西に住むオカマ。好きな焼き鳥の部位はレバー。
童話。東に住むノンケ。ポンコツ。
オカマのイメージ
久しぶりの対談ですね。ディムさん、相変わらずオカマでしたか?
相変わらずオカマだったわよ。腕毛が濃すぎて全剃りしたわ。夏だし。
あんまり聞きたくなかったです。
そういえば戯れにアスクなんとかエフエム始めてましたね。オカマらしさ出てましたよ。
……ask.fmね。 そうね、ユーザー同士が質問して解答を閲覧できるSNSなんだけど、軽い気持ちで始めたら「親が離婚して……」「処女なのですが今の彼氏が……」「殺したい人がいて……」みたいな、REGZA Phoneくらい重い質問ばかり飛んできたわよ。いったいオカマに何を求めてるのよ。まぁオカマっぽく解答しちゃうアタシもアタシだけど。
もはや言い尽くされたことですが、オカマは「知的」「鋭い」「ぶっきらぼうだけど優しい」みたいなレッテルを貼られまくった、曰く付き旅館の襖みたいな存在ですからね。
バカで鈍くていやに丁寧に人と付き合う割に心根は冷たいオカマが大半なんだけどね。そのレッテルはどこからきたものなのかしら?
メディアでしょうね。一部の賢くて面白くて発言力のあるオカマを祭りあげて、意見を言わせる。男女どちらの気持ちも分かるという幻想もあいまって、オカマはそういうものだという偏見が世間に染みついたんですね。
逆に世のオカマたちも、そういうオカマを見て「オカマとはかくあるべき」と思い込んで、そのオカマ像にしがみつくことで必死にオカマとしての体裁を保っているのよね。つまりオカマ感の逆輸入が起こってるわけ。このままじゃオカマもノンケもオカマのファントムに支配されちゃうわよ。
確かに語りかけてくるような独特の口調はどうしても「ありがたいお説教」といった感覚を与えてしまいがちですよね。ビジネスの電話とかかかってっきたときのディムさん、普通に敬語でペコペコしてますけど、あの雰囲気でいつもいればいいんじゃないですか。
やめろぉ!!営業妨害よ!!……んもう、わかってないわね。よく勘違いされるんだけど、あれは世を忍ぶ仮の姿なわけ。ゲームやアニメのラスボスだって、本当の姿は最後の最後まで見せないでしょ? アタシはオカマの姿が本当の自分なのよ。ラスボスなのよ、アタシ。
本当の自分はオカマ言葉なんですね。それがよく分からないんですよ。ディムさんは「男として男が好き」なゲイですよね。別に女性性は見受けられないのですが。
アタシは身体も格好も普段ふるまっている性も男だけど、心は男でも女でもないと思ってるわよ。でもオカマなのよ。オカマでいるのが一番楽なのよ。
もしかするとアタシ自身がオカマの治外法権のイメージを盾にして、この訳のわからない自分自身を守っているのかもしれないわね。
オカマでいるのが一番楽、オカマの治外法権、訳のわからない自分自身を守っている……ノンケには理解しがたいものと戦っているのですね。
他のレッテルに置き換えるなら、そうだな、何かありますかね。ノンケでもこう、すがるようなレッテルがある気がするんですけど。
えっ、いいじゃないノンケってだけで。ノンケ最高!
ダメだこりゃ。テーマを変えます。
とりあえず今のオカマ文化について、どういった流れになっていくのが理想だと思いますか?
オカマたちの未来
最近は「あれ? オカマだからってそれだけで面白いわけじゃないぞ?」って世間も気づき始めてるからね。オカマというだけで何の能力もない者が持てはやされるような時代は終わる。そうなってほしいと願うわ。そのときはアタシの命も……。
ディムさんはオカマという点を除いても才能があると思いますよ。文章も上手いし話も面白い。題材はオカマですが、それは誰もが同じです。仕事、立場、趣味、みな題材を持っています。そのひとつくらいの位置に「オカマ」があればいいですね。
えっヤダなぁに突然褒めたりして。急にアタシにムラムラきちゃった?
そうねぇ、職業や趣味と同じで、オカマにしか体験できないことも沢山あるけど、全員が全員まったく同じ経験と感性を積み重られるわけじゃないからね。ほとんどのオカマが「それだけじゃやっていけない」状態なのよね。
ノンケと同じで、いちゲイに秀でるだけじゃつまんないってことよね。
なにうまいこと言ってるんですか。無視します。
繰り返しますが、オカマだけではやっていけない。そして淘汰が始まります。生き残ったのは賢くて面白いオカマ。彼らは頭角を表し、目立ちました。と、ここで話は前のテーマに戻るわけですよ。生き残ったオカマによる「オカマのレッテル」が浸透し、極めて一般的なオカマが肩身の狭い思いをしている。何だか高学歴プアみたいな現象ですね。
そうよね。普通に生きたい普通のオカマがつまんねぇオカマだとオカマ内から煙たがられている現状。ノンケから煙たがられるのも時間の問題ね。
結局、私たちオカマはどうすればいいのかしらね。オカマであること自体が罪に思えてきたわ。
でもつまらない人が避けられるのはノンケの世界も同じですよ。面白くなるか、他のいいところで勝負するか。つまらなくても年収が億あれば寂しくない人生が送れそうですし。
「つまらないノンケ」と「つまらないオカマ」だったらどう考えても後者のほうが業を背負ってる気がするのは、私がオカマのイメージに引きずられてるからかしらね。
つまり、年収が億あるオカマが最強だってこと?
つまらなくても「ちゃんとしてる」オカマなら何の問題もない気がします。友人もできるでしょうし、生活に困ることもありません。ノンケと生き方は同じなんですよ。
アタシ、オカマの中ではちゃんとしてるほうだと思うんだけも、友人はまったくできないし毎月カードの支払いに追われてるのはなぜなの?
だから「オカマの中で」は意味ないんですよ。社会全体で見たときにカード貧乏は「ちゃんとしてない」に含まれる気がします。友人は、あなたが人見知りだからできないんですよ。もっと話せばいいのに、すぐ内に籠るから…。
違うのよ! 会社の付き合い諸々で毎月びっくりするくらいの金額が飛んでいくのよ!! 無理やり経費で落とすこともできるけど、頑張ってる部下のことを思うと……。
あとね、人見知りっていうかそもそも人嫌いなの。渡る世間はオカマに対して鬼ばかり。
何で働いてマイナス収支なんですか……
人嫌いな性格はオカマであるがゆえですか?
ううん、地で嫌い。
おしまいですね。
・編集後記(オカマ)
他人の目線を支配することは自分自身の目線を支配されること。この世は不条理で満ちているわ。自分自身の目で世界を見ていたいものね。
さて、皆さんいかがお過ごしかしら? ジメジメとした梅雨の夜には、当ブログの乾ききった過去記事をぜひ。次回の更新もパサパサよ。おたのしみに。
・本日の教訓
ちゃんとしていれば問題ない。