比喩の常識をぶっ壊そう2016オカマ編
BSディム。西に住むブスなオカマ。塩分過多で高血圧。
童話。東に住むノンケ。埼玉過多で低血糖。
童話が興味あること
次のテーマ何にしますか。話しやすいやつからいきましょう。ちなみに僕の最大の関心事は「比喩」です。
比喩?また突飛なものに関心を寄せてるのね。なにか辛いことでもあったの?
辛いことなんてありませんよ。ただ、最近比喩関係の本を読む機会が多く、関心を寄せるに至りました。
比喩関連の本って、どういうものなの?
いろいろありますが、例えば中村明の『比喩表現辞典』や野内良三の『レトリックのすすめ』などですかね。サイトで言えば日本語表現インフォが優秀です。
そもそも、どうしてに比喩関連の本を読む機会が多くなったのよ? 私は普段生活してても、比喩なんてまったく気にしていないけど。
そう言われると、何ででしょうね。いつの間にか読み漁ってました。比喩って誰でも使うじゃないですか。その割に勉強する人は少ない気がして。そういうことに好奇心抱く性格なんです。
試しにディムさんも、ツイログかなんかで「みたい」「のように」と検索してみてください。たくさんの比喩を使いこなしてきたはずですよ。
腐女子の指すホモっていうのは、私たちオカマからすりゃカリフォルニアロールみたいなものよ。
— BSディム (@BS_dim) 2015, 6月 7
— BSディム (@BS_dim) 2014, 1月 27
ロクなことを言ってないわ。
本当にロクなことを言っていませんね。好きですけど(笑)
ディムさんは、比喩とは何だと思いますか。辞書的な意味ではなく、感覚的に。
そうねぇ。比喩って、自分自身の感覚を的確に他人と共有するためのツールよね。言葉のPhotoshopみたいなものよ。
童話くんは比喩を何だと考えてるの?
実用的な面ではディムさんの意見に近いですが、最近はもう少し哲学的な捉え方をしていて、比喩は、人の認識そのものだと考えています。
人の認識そのもの?
そうです。昔から比喩は、おそらく多くの人がそう思っているように「技術」「表現」だと考えられてきたんですけど……
例えばディムさん。「成績が上がる」という表現をどう思いますか。
成績が上がる?うーん、特に思うところはないわ。なんの変哲もない、ありふれた事象を表した言葉だと思うけど。
僕も何ひとつ疑うことなくそう思っていたんです。でも、「成績が上がる」というのは「比喩表現」と捉える考え方があるんです。英語で書いた方が分かりやすいんですけど、これは”MORE IS UP”という比喩なんです。
もともと「上がる」というのは上昇すること、つまり「UP」を意味していました。しかし、それが「増える」という意味でも使われるようになった。コップに水を入れていく様子を想像してみてください。増えていくと同時に上がっていきますよね。ここに人は”MORE IS UP”という認識を得ました。
テンションブチ上げの"上げ"も同じってことね。確かに、感情が高まるという表現も比喩の一種よね。
日常で何気なく使っている言葉でも、由来は多岐に渡れど、たくさんの比喩が含まれているのね。
そう、溢れているんですよ。詳しくは下の参考書籍達に譲りますが、言語学では比喩こそが言語の中心だとする考え方がメジャーになりつつあるんです。面白いですよね。
そしてディムさんは、カリフォルニアロールの比喩を生み出したことで「認識の発見」をしてしまったわけです。
「認識の発見」? 分かりやすく言うとどういうことなの?35歳の既婚体育教師とやんちゃっぽいバスケ部の男子生徒で喩えてくれないかしら。
オカマが広瀬すずを抱くくらい困難な課題ですが、やってみましょう。
35歳の既婚体育教師は、やんちゃっぽいバスケ部の男子生徒を「男子生徒」としか見ていませんでした。
ある日の放課後。体育教師は体育館にいる男子生徒を見つけます。ふとした瞬間、彼が可愛く見えました。この体験を、体育教師は日記に「彼がたんぽぽのように見えた」と記しました。その刹那、「男子生徒」は「たんぽぽ」として"認識"されたのです。それまで決して彼とたんぽぽを結びつける人はいませんでした。体育教師の発見によって、初めてそのように認識されたわけです。
それに共感する人(主に腐女子)が現れると、初めて発見された認識は共通認識に変容します。明るい人間を見て「太陽のような人だ」と比喩することに疑問を抱く人はいないでしょう。認識は発見され、共有され、定着します。言語における「比喩」が認識そのものだと言われる所以は、ここにあります。
体育教師と男子生徒の間に確かな愛。オカマ、認識しました……!!
星座や虫の名前なんかも定着した比喩になるのかしら。ヤギ座とか、カメムシとか。どう見てもヤギじゃないしカメに見えないんだけど。
あぁ、それはそうかもしれません。考えたことなかったな。無理やり定着させた比喩っていう感じですかね。
あ、認識発見ゲームっていうのを考えました。やってみます?
認識発見ゲーム
あら、いいわね。面白そうだけど酷いことになりそう。ルールを説明してちょうだい!
まず比喩されるものをトピック、比喩表現をイメージと名付けましょう。これは中村明氏の『比喩表現辞典』に依拠した言葉です。例えば、「大根のような足」という表現における足はトピックで大根はイメージです。
まず僕が以前生んだ「イメージ」のみをディムさんに伝えます。それを見て、ディムさんは「トピック」を想像してください。回答していただいて、それがどのくらいズレているのかを比べてみる、というゲームです。
分かったわ!必ず当ててみせるわ。だって童話くんとは親友だから!!!
では行きます。一問目。イメージは「ナイジェリアのおとぎ話のような」です。
うーん、ナイジェリアでは99年に民主化が行われたものの、各地で治安が悪化してるらしいから……このトピックは「民主化」!!
はずれです。トピックは「小学校の同級生のFacebook」です。共通認識は「自分から遠い話」でした。
やんっ!惜しい〜!
どこがだよ!!
第二問。次は当ててください。イメージは「auのCM」
「auのCMみてぇだな!」ってツッコミが入れられるもの、ってことよね。
分かったわ!!トピックは「ソフトバンクの最近のCM」
ポンコツ回答者!
トピックは「大学のサークル」でした。
ああんっ!惜しい〜!
ラスト行きます。イメージは「ウンコが水に落ちる音」
これは分かるわ。「このブログの会話」
惜しいです。いや、正解かな。トピックは「僕らのツイキャス」です。
いかがでしたか、このゲーム。
難しいゲームよね。なぜ難しいかって、お互いのイメージが全く違う視点で描かれることがあるからよね。カメムシがカメに見えないのと同じだわ。
そうですね。そこが面白くもあります。認識って人それぞれなんですよね。
このゲームをすると何に役立つって、相手の認識を知ることで、自分自身の表現のストックが増えるんですよ。まぁディムさんの回答はウンコすぎてまったく広がりを見せませんでしたが。
確かにそうよね。他人の視点を借りれば、月の裏側だって見えそうよ。
それじゃ最後に、私からも1問いいかしら?イメージは「長らくエサを与えていない檻の中の獣」
ディムさん。
なんですか。
回答ですよ(笑)
私かよ!!全ッ然ちがうわ、ハズレよ。
正解は「『もう男なら誰でもいい』と思い始めたブスなオカマ」でした。
正解じゃねえか!!!
編集後記(童話)
肺炎治りました。どうも、童話です。今回は「勉強」というカテゴリの対談をしてみました。人は学び続ける生き物です。オカマとノンケが必死に何かについて勉強している様を見て、皆さんはどのように感じましたか。僕は「あぁ、可哀想だな」と思いました。いまカフェで編集しているのですが、咳をした瞬間に灰皿から灰が飛び散りましたよ。可哀想ですね。
さて、認識発見ゲーム、皆さんも友達(いればの話ですが笑)と楽しんでみてください。思わぬ発見があるかもしれないです。これはオリジナルのゲームなのですが、使用料は取りません。その代わり、分かりますね。察しのいい方は分かっているはずです。これ以上は言いません。下に比喩について楽しく学べる参考書籍を貼っておきます。これ以上は言いません。
パスカルは言いました。人間は考える葦である。しかし、僕はそうは思いません。人間は考え、行動する葦である。僕は皆さんの行動を求めます。それでは、また次回の記事で。
・本日の教訓
人間は考え、クリックする葦である
参考となる書籍たちです。
- 作者: ジョージ・レイコフ,マーク・ジョンソン,渡部昇一,楠瀬淳三,下谷和幸
- 出版社/メーカー: 大修館書店
- 発売日: 1986/02
- メディア: 単行本
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すべて僕が所持している本です。感覚や思考において大変参考になる書籍ばかりです。中でも『レトリックと人生』は従来の言語感覚を一気に突き崩してくれる名著です。是非読んでみてください。